ビデオ


フランスのビデオには要注意である。フランスのテレビは世界でもまれな規格SECAMを採用している。したがって日本のテレビを持ってきても放送を受信することは出来ないしこの規格のビデオデッキでは日本のビデオテープを再生することは出来ない。
ところが実際のところフランスで市販されているテレビは西ヨーロッパのほとんどの国で採用されている規格であるPALとSECAMの両方に対応したものが主流である。単一市場、複数規格という複雑な市場のせいである。一方ビデオはというと同じくPAL/SECAM対応が主流となっている。そして一番安いクラスを除いて多くのビデオデッキには日本および北米の規格であるNTSCのビデオテープを再生できる機能がついている。ここにワナがある。
フランスのビデオはNTSCを再生することは出来ても映像の出力はやっぱりPAL/SECAM信号となるのでNTSC規格のテレビではうつすことは出来ない。日本からテレビだけ持っていきフランスのビデオをつなぐと言うことは出来ないのである。そしてNTSCのVHSビデオには3つの再生速度があるがこれらをすべてサポートしているとは限らない機種が存在するという事である。日本では標準/SP(Standard Play)、3倍/EP(Extend Play)の2種類しかないが、規格としては北米では一般的なLP(Long Play)という2倍モードが存在するのである。という事でNTSC再生機能を掲げていても使用できるのがSPだけだったり、SPとLPだけだったりするものもあることを念頭において製品を選ぶ必要がある。

VHSなんてもう古い、これからはDVDという向きには少々朗報である。大方のDVDソフトには版権と流通にかかわる地域コードによるプロテクトがかかっており異なる地域のソフトウエアを再生できない仕組みになっている。ところが西ヨーロッパ、EU圏と日本は同じ地域コードにあるためこの問題はない。地域コード2にあたるのである。ただし双方地域で発売されたソフトを再生できるのはヨーロッパ製のDVDプレイヤーのみとなりそうである。それはふたたびビデオ規格が原因である。ヨーロッパの多くのDVDプレイヤーはPAL/NTSC両方のディスクをデコードできるが日本国内で発売されているものはNTSCのみのようである。ということでフランスでDVDプレイヤーを購入すると日本から持ってきたソフトも存分に楽しむことが出来るが、日本国内仕様のDVDプレイヤーに思い入れがある場合にはフランスで購入した地域コード2/PAL規格のディスクは再生できないのである。PCに搭載されたDVD-ROMドライブでDVDを再生する場合は再生ソフトにもよるがたいてい地域コードは厳密に管理されているがビデオ信号規格には柔軟である。

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