大都市、とくにパリは便利である。縦横無尽に張り巡らされたメトロは全部で14本。RERと呼ばれる郊外まで伸びる地下鉄が4本。これだけで市内どこからでも交通に不自由しない上にバスはいったい何路線あるかわからないほど。一方、ひとたび郊外に出ると、メトロ圏外、それがRER路線内でも交通はとたんに不便になる。車がおもな移動手段になるのである。
フランスで車を入手するには、新車を買う、中古車を買う、リースなどがある。
中古車をフランス語ではvoiture d'occasionというが一方レンタカーはvoiture
de locationとなる。生半可な文法でvoiture de l'occasionなどといってしまうと訳がわからなくなる。
個人売買で中古車を買ったときの手続きはすべて自分でやらなければならない。以下にその手続きと必要な書類を紹介する。 「これだ」という車が見つかりそのオーナーと交渉成立となったら、支払いのお金を用意しよう。相手が現金での支払いを要求してくるのならそれに従うであろうが、車一台結構な金額なのでそんな物騒なことはしない。たいていは小切手での支払いになるが、個人の銀行口座からの小切手では信用の有無とは関係無く気持ち悪いものである。知らない相手ならなおのこと。小切手は銀行発行のもの/check de banqueを用意する。銀行の本店、支店が発行するのもなので銀行が無くならない限り不渡りにならない信頼のあるものである。これは口座がある銀行で作ってくれる。もちろん手数料はいくらか取られる。 車を売る側は準備するものが多い。
支払いと引き換えに車とこれらの書類を受け取ったら正式に売買成立となる。 次は所有者の変更手続きである。上記の受け取った書類に加えて以下のものが必要。
これらの書類を持ってPrefectureへ行き所有者の変更手続きをおこなう。その旨を窓口で伝えるとDemande de certificat d'immatriculation d'un vehiculeという書類を渡されるのでここに必要なことを記載する。住所、氏名、車の種類と登録番号などである。すべてを提出して登録費用、これは車の種類(排気量など)によって異なるが、を支払えば即日新しい登録証、Carte griseを手に入る。これで名実ともに所有者は変わる。 注意事項としては売買が成立してから、すなわち譲渡証明の日付から15日はそのまま運転することができるが、それ以降は次の所有者変更手続きをしなければ道路を走ることはできない。自動車保険の手配も速やかに行わなければならない。保険は義務である。 |