欧米人が見た日本のカレー


日本のカレーを欧米人からの視点でどのように見えるか、というのがテーマである。欧と米をいっしょにするとはかなり乱暴なことであることを十分承知の上である。
と言うことで下の写真をご覧いただこう。これはAmerican Chemical Societyというアメリカの化学の学会が発行している 雑誌、Analytical ChemistryのMarch 1, 2002 / Vol. 74, No. 5の表紙である。簡単に言うと化学分析の専門誌である。表紙には何か変な食事が並べられている怪しい写真である。この号の特集は青酸分析の擬陽性についてであり、著者はYasuo Sato, National research institute of police scienceである。何ゆえ日本人が青酸分析を語るかと言うと、もちろん1998年に起こった毒物事件が関係する。そして表紙の写真は他でもない、和歌山で起こったヒ素入りカレー事件のイメージである。そう、欧米人のイメージする日本のカレー、しかも毒入りはこのような写真になったのである。この雑誌はアメリカの学会のものであるが、編集者として名を連ねるのは出身や国籍はともかくアメリカあるいはヨーロッパの研究機関に所属する者である。そして雑誌の編集自体もアメリカで行われている。もしかすると編集に携わった誰もが日本のカレーライスがどんなものか知らなかったかもしれない。箸、すだれ、のり巻き、お猪口は丼に盛られたカレーを日本に見せるための苦肉の策か。
なぜヒ素事件で青酸なのか?当初警察はこの事件を青酸によるものとしていた。しかし、犠牲者の検死では青酸中毒の特徴が見当たらなかったのである。どんな化学分析の誤りがあったか興味がある方は本文を入手していただきたい。さて残る疑問はひとつ、青酸を英語ではシアン/Cyanというがなぜだろう?化学式ではCNである。そうC and Nが訛ったという説は如何だろう?
curry

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