パンのページ


フランスの主食はパンでありバゲットである。焼きたてのパリッとしたバゲットとカマンベールとワインがあれば他に何も要らないというほど重要であるが、パンもその質による。日本だってごはんは炊き立てのほくほくを食べるのがおいしいが、ただ炊けばいいもんではない。こだわれば米も水も炊き方も重要である。パン屋さんはどの町にもあるし、小さな店ですべて手作りのところもあれば、大きなスーパーマーケットにはまるでパン工場のようなパン焼機の並ぶパン売り場がある。しかしこだわりの国フランスはすべてを認めているわけはない。
小さな町のパン屋さんは手作りで、生地をこねるところから焼くところまで自家製でまかなっているが、スーパーマーケットの大規模パン屋さんはパンをあらかじめ工場でこねて、成形し、冷凍して保存しているものをただ焼いているだけのところもある。法律では前者、自家製手作りの店のみにパン屋Boulangerieの看板を認めている。いい法律だ。

両者のパンの品質にはどれほど差があるのか興味のあるところだが一目瞭然である。下の2つはパン屋とパン屋でないパン屋のバゲットの写真である。パン屋のバゲット少々いびつだがきれいな焼色がついており、斜めに入った切れ込みなどは力強い。一方、パン屋でないパン屋のバゲットは形がきれいに整ってはいるが何かだらりとしている。斜め切れ込みも美しくない。裏面には規則正しいパターンが刻まれているが、おそらく成形後おいていた台の跡がついているのであろう。切って中を見るとまた違いが分かり、パン屋のバゲットは発酵で形成された気泡が不規則であるが、偽バゲットは実に均一な気泡が形成されておりスポンジのようである。肝心の味の方は、パン屋のバゲットは表面がパリパリして本当においしい。偽バゲットはというときれいに焼けているときはまあまあよいがたまにやたらモチモチするものもある。というのもいつも品質が安定していなく全般的に水っぽん区粘っこい。このモチモチ感ゆえに1日保存してもそれほど固くならず何とか食べられるが、パン屋のバゲットは一晩たつとかちかちに固くなりもうそのままでは食べられない。保存性の悪さからバゲット離れというのもあるらしい。価格は当然パン屋のほうが少々高い。主食はいつも食べるものだから妥協は出来ないという人もいれば、主食こそお金をかけられないという人もいる。必要に応じてパン屋に足を運ぶというのは面倒でスーパーマーケットでどっさり食品を買うついでにパンも買っておくというのが好まれるかもしれない。

フランスに旅行などで訪れて、パンがおいしかったという話を聞く。しかし日本でもヴィドフランスとかポンパドールとかチェーン店のパン屋でも充分おいしいバゲットが手に入ると思う。昔住んでいた大田区大森東にも小さな個人経営のパン屋がありそこのバゲットはおいしかった。違いがあるとすればフランスではいつでもそこそこのバゲットが安く手に入るということだろう。日本の大手のパン屋ではバゲット焼き上がり時刻表が店内に掲示されて、焼き立てをねらってくる客が大勢でその時刻をのがすと手に入らないという経験がある。

boulanger super (左)本当のパン屋さんのバゲット。見た目も味もすばらしい。4.20フラン。

(右)スーパーマーケットの量産バゲット。何か作り物の感じが見た目から伺える。2.90フラン。

どっちがよいかは人それぞれ。


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