ヴィシソワーズ


妻実家からの支援物資であったビデオがこのたび程よい熟成期間を経て日の目をみることになった。もちろん妻はとっくの昔に見ている。「ナースのお仕事4」、「ランチの女王」というの連続ドラマである。一件脈略のない2つのドラマであるが、共通点は表題にもあるヴィシソワーズである。娘はテレビからちょっと妙な発音で聞こえる「ヴィシソワーズ」にすっかり魅了され、フランス近代史上でも重要なヴィシー、強烈な温泉水の産地となれば実際に作らなければならない。が、これをどのように料理してよいものか解からない。手がかりはドラマののなかでの調理シーンである。調理シーンの登場回数では「ナース」の方が圧倒するがなにしろ主人公のおっちょこちょいナースが失敗する場面ばかり、かたや伝統の味をまもる洋食屋「マカロニ」のレシピとなると勝負ありだが、結局のところジャガイモを使った冷たいスープという以外良くわからない。手もとのLarousse料理本にもレシピまで載っていない。さあ実験開始である。

材料はジャガイモ300g、たまねぎ一つ100gを固形ブイヨン入り牛乳200gで煮立たないように煮る。こし器が見当たらないのでハンドミキサーで煮えた野菜をクリームに。粗熱が取れたら冷蔵庫へ。サーブするボウルも冷蔵。最後の瞬間に生クリーム50gを混ぜてから盛りつけ。シブレットの上品なのも浮かべたいところだが手元には中華街のタイ産万能ねぎ、これはちょっと違う。
では試食。味はともかくドラマで見たようなさらりとした物からは程遠く、ゆるいピュレのようである。後に妻の秘密レシピ本で見る分量によるとイモ過剰のよう。

残念なことであるが、「ナース」は野球中継延長のため一部欠話があった。野球中継そしてジャイアンツが恨めしい瞬間である。しかし画面の中にジャイアンツのユニフォームを着る松井を見るとなんとも時の流れを感じてしまう。


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