発音記号から見る母音


IPA table最近パリ20区にある科学館で知ったことだが、世界中のあらゆる言語には全部で26種類の母音があるという。日本語ではそのうちたったの5個、「あいうえお」しか使っていない。これに比べてフランス語は鼻音を除いて12個、英語は8個と言われている。言語学で使われる発音記号、IPA: International Phonetic Alphabet、外国語の辞書などで使われている発音記号で表される母音は全部で28個である。図は母音表でWikipediaからの複製による。発音記号がちりばめられているがそれぞれが一つの母音を表す。この表の縦軸と横軸はそれぞれ口の大きさと下の位置を意味する。点をはさんで2つの記号があるものが結構あるがこれは口の開き具合、舌の様子はそのままで唇の形が異なる音である。左が普通の口、右が唇を丸め突き出すような口である。

赤いしるしが日本語の母音、青はフランス語、緑は英語。どうだろう、日本語に比べて他の音にバラエティがあるということになる。ここまでくるともう日本人が外国語を美しく話すのがとても大変なことであることが十分わかると思う。そして日本人の話す英語がいかに無表情であるかというのも。彼らは日本にない音を使っているのだ。しかしよく見ると日本語に比べて英語はまだましのようだ。英仏間はまだ重なりが多い。日本語の基本のあいうえおはフランス語の母音に近く、遠く離れた母音も多くない。ここで言う母音の距離と言うのはあくまでもこの発音記号上のそしてその音を出すための口などの形という意味での距離であり、実際の音として周波数分布や声紋のような形でどの程度離れているかは別途調べる必要がある。

chateauこの表の縦軸と横軸に沿って口の形などを感覚的に変えながら発音するとそれらしい発声ができるはずだ。母音は分類上28個に分けられているが、口の形や舌の具合が作る口腔内音響環境は基本的に連続可変である。従って日本語に無い母音でも日本の母音間に位置するものであれば内挿が可能と言うことになる。声を出しながら口や舌を動かすと必ずどこかに目的の音のポイントがあるはず。そう考えると発音もそう難しくないように感じる。

参考文献
Wikipedia, 母音、あるいはWikipediaで「母音」で検索すると表示されます。
白水社、現代フランス語辞典。発音記号の確認に使用。
7 février 2008
11 février 2008 rev[A]


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