Concorde


Air Franceが、フランスが世界に誇る超音速旅客機、コンコルド。民間人が音速の壁を越える唯一の手段である。Paris-New Yorkをなんと3時間30分で飛んでしまう。通常の旅客機では8時間を越える。最高速度は音速の2倍。通常の旅客機よりも7000m高い17000上空まであがる事ができる。
以前、Air Franceの機内誌で記事があったのでそれを参考に簡単に紹介。
とにかく速い。あまりにも速すぎるので時差がなくなる。なくなるどころか時差をこえる。到着時の現地時刻が出発時の現地時刻よりも2時間も前になるのである。これをはじめて知ったとき、ちょっと面白い事を思いついた。ミレニアムの幕開け、2000年をフランスで迎えた後直ちに離陸すれば到着地New Yorkではもう一度2000年のカウントダウンができるこという事である。
機体の形状は旅客機というよりももはや軍用機のような面持ちである。細身で三角翼の主翼という形はアメリカ空軍の主力戦略爆撃機B-1を彷彿させる。全長62mはBoeing 777とほぼ同等、747ジャンボより一回り小さいが本体はずいぶんと細身である。
滑走路を転がり始めて30秒で時速370キロに達し、1500メートルの時点で離陸する。アフターバーナーはONである。その後毎分2000フィートで上昇しながら加速し離陸からたったの20分で大西洋に達する。車なら4時間。ここからがコンコルドの本領発揮である。音速の壁を越えるのである。亜音速から超音速にうつる際重心変更のために燃料を機体中心にあるメイン燃料タンクから機体後部のタンクに移動させるのである。音速を超えた世界では航空力学の世界が一変するのである。離陸から30分で音速を超えてなお上昇を続け最高速度マッハ2.02で巡航するのは高度17000m。ここではもはや乱気流がほとんど無いのでとても快適だそうだ。空もより深い青になる。
上空の気温は-55度。通常の旅客機では冷えるので暖房が必要となるが音速を超えるコンコルドでは逆に冷却が必要となる。空気との摩擦で加熱するのである。機体表面は120度にも達する。加熱による金属の膨張で機体は20cm延びる。
超音速で飛行するのは2時間15分ほど。超音速から亜音速に減速する際には再び重心移動のために燃料を移動。燃料は本体中心のメインタンクの他に機体前部の補助にもうつされる。超音速を脱した後燃料は最終的にすべてメインタンクにもどされる。最後の30分で一気に下降、減速して着陸である。
これだけ派手な飛行をするためには燃料の消費も半端ではない。離陸時96トンの燃料も着陸時には15トンしか残らない。
座席はすべてファーストクラスの100席。運賃は・・・。普通の人には手が出ない。サービスは至れり尽くせり。もっともこれだけ時間が短縮されれば座席の事は文句は言うまいというのは庶民の考え。
出発地、paris、Charles de GaulleのAerogare 2A-C側にとまっているのでこちらに発着する飛行機からはうまくするとお目にかかる事ができる。ちなみに日本路線でANAはAerogare 1、JALは2Fで反対側なのでだめ。ずんぐりしたジャンボジェットと比較してスリムな姿は技術という機能美の他に形そのものの美しさと気品が漂う。フランスのエスプリである。
Paris-New Yorkの運行がはじまってもう20年以上。飛行機ももはや旧型という声もあるがいまだこれに続くものが現れない以上、航空運輸業界の最高の地位は揺るがない。180度フラットになるファーストクラスのリクライニングシートなんかよりももっとストレートに最高のサービスを主張している。現在音速を超える経験ができるのは宇宙飛行士と、空軍パイロットとコンコルドに乗っている人々だけである。戦闘機やロケットは無理でも旅客機はお金さえあればなんとかなるのである。宇宙旅行の商業開発がささやかれるなかで今一度地球上の壁を越えてみたいものである。音速の壁を越え、重力の呪縛から逃れた後にある究極の壁は光速である。
フランスが誇るもう一つの地球上のスピードへの挑戦、TGVは今もなお世界最高の地位を守っている。
Concorde、調和、融合。
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