日食


今世紀最後の皆既日食がフランスを始めとするヨーロッパで見る事ができた。
当然のごとくメディアでは大騒ぎであるが、まだに見ぬ日食で騒ぎ立てるにはネタとして充分ではなく、日食という現象自体が人の一生で見る事が出来るかどうかというイベントであったとしても天文学的時間では幾度と繰り返され、もはや謎の現象ではない。大騒ぎ、というよりもマスコミがそろって連日のように口うるさく言っていたのは日食の本質的なことではなく、保護めがねである。太陽を直接見るのもほんの一瞬見る程度では目がくらむ程度で何ら問題はなく、また好き好んで真夏の太陽を直視しつづける人も珍しい。しかし日食となるとその始まりから終わりまで延延と太陽を見つづけることになり、サングラス程度の減光あるいは人によって裸眼で見つづけることは網膜に大きな負担をかけることになる。たとえ太陽が月に隠れ始めて光が弱まり始めてもまだまだ太陽の光は強いのである。日食で目を損傷するのを未然に防ぐため、テレビは本当に飽きるほど保護めがねを訴えていた。保護めがねは薬局でも扱いはじめ、日食関連の書籍に添付され、無料配布のものもあったが日食当日、皆既日食エリアとなったいくつかの都市では保護めがねが暴騰したとの事である。めがねも安全性を満たしたCEマーク入りのものが推奨されていた。アーク溶接向け保護めがねレベルの規格だそうだ。
日食前日からのどんよりとした曇り、嵐のような雨で半ば諦め気味であったが、日食開始に合わせて雲が薄くなり青空が見え始めてきた。日食は予定通り観測され、テレビ、インターネットを通じて世界に放送された。
やはりというか当然というかあれだけ盛んに保護めがねを訴えてきたにもかかわらず、結果として数十人レベルで目に損傷を受けた人が確認された。


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