ユーロのナゾ


1と10の中間は何か?5である。これがユーロの謎を解くカギである。あるいは鋭い人ならこれでこれからなんの話になるかピンと来たはずである。 ユーロの流通が始まって1カ月、これといって混乱はないようであるが不評は耳にする。例えば紙幣のデザインが無機質であるとか、硬貨が玩具みたいだとか、硬貨の見分けがつきにくいなど。すべていずれ慣れてしまうことであろう。それ以外に硬貨、紙幣の種類が多すぎると言うのがある。しかし思い違いであり、硬貨の種類はフランで8種類(5,10,20,50centime、1,2,5,10franc)、ユーロでは8種類(1,2,5,10,20,50centime、1,2euro)、紙幣ではフランで4種類(20,50,100,200franc)、ユーロでは4種類(5,10,20,50)とほとんどかわらない。20フラン硬貨、500フラン紙幣、100ユーロ以上の紙幣が無視されているじゃないかと言われればそうであるが、これらは日常生活でほとんど使われない。 ちなみに20フラン硬貨は半年に一回くらいでしかおつりで受け取ることはなかった。一方500フラン紙幣は4年弱フランスに住んでいて自分のお金として一度も手にすることはなかった。種類が増えて面倒になったというのは新しい硬貨になれていないのも一因であるが、小銭の使い勝手はカードや小切手が主流のスーパーマーケットでではなくパン屋、カフェ、プレス、タバで評価され、考えられるのは1/100単位であるサンチーム硬貨が2種類増えたことであろう。

さて本題に入ろう。題名のユーロのナゾはフランのナゾに置き換えてもかまわないが、これらの通貨には2のつく額面のものがあることである。日本の2000円紙幣はイマイチだったが、当時の首相が言うようにヨーロッパでは2のつく紙幣、硬貨が当たり前のように使われている。初めは結構面倒であるが、なれると便利である。10ユーロ紙幣2枚が20ユーロ紙幣1枚で済むのを便利と言うかどうかはわからないが、欠点をあえてあげるならば懐が物理的に寒くなることくらいであろうか。
そこで問題である。1と10の中間は何か?考えるまでもなく5である。日本の通貨体系では気分で導入された2000円紙幣を除き常に1と10の中間の通貨が用意されている。1,5,10,50,100,500・・・円の様に。では再び問題で1と10を3等分するならば?整数で答えるならば3と6であろう。世の中には違ったものの見方がありそれに基づくと1と10の中間は3であり、3等分すると間は2と5となるのである。いわゆる対数スケールである。文部科学省が学校教育のレベルを落としていなければ理系、文系を問わず高校の数学で学ぶ内容である。

eurolog そこで3種類の通貨、日本円、フランスフラン、ユーロの額面を対数軸の上に並べてみた。同じスケール上にプロットが来るように円は1/100にしている。一目瞭然で1,5,10,50,100・・・と貨幣のもつ額面範囲を均等にカバーしているように思えた日本円には実は隙間がある。5円は1円と10円の中間ではなく、かなり10円よりであることがわかる。一方、フランスフラン、ユーロでは実に均等に並んでいる。2のつく額面の本領発揮である。

eurolog2 以上は単なる戯言で対数は桁を超えるダイナミックな変化を捉えるのに有効であり 、日常の買い物、支払とおつりの受け取りには必要ない。しかし200万円の車を 買うときに20万円分のオプション装備を「まあいいや」とあっさり決めてしまう 瞬間、金銭感覚は対数軸上にあるのかもしれない。グラフでは青部分が200万円 の自動車、赤が20万円分のオプションである。注意が必要である。


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