フランス式建築


日本では違法設計偽装建築の話題で持ちきりであるが、近所では新しい集合住宅の建築が行われている。その欧州標準の建築方法を見ているとなかなか奇妙である。物件は全6階ほどのいわゆるマンションで鉄筋コンクリート製である。建築が始まるころすぐそばに超巨大クレーンが設置される。フランスのこの規模の建築には必須なのである。写真ではもう3階目まで出来上がっている。日本のこの規模の建築物の現場を見たことがある人ならピンと来るのだろうが、全6階建ての3階目までができつつあるのにその上にはまだ何も無いのである。日本なら鉄骨だけでも全建屋分できてから外壁等の作業があるはずである。

つまりこの建築方法では鉄骨がないのである。何も無いところに1階づつ積み重ねるように作られる。写真では4層目の作業に入っているのがわかるが、外壁に当たるところにはオレンジ色に塗装された「型」が設置され、クレーンにより今まさにコンクリートを流し込んでいるところである。これがしっかり固まり、一層が完成するとその上にまた同じように型を持ち上げて次の一層を作る。もちろん型の中には鉄筋が入っており、それが写真のように途中の壁からとび出ているのが確認される。型を設置する前にはここに次の一層分の鉄筋が溶接される。このように作られるのが建物の重量を支える構造壁となり、中の壁のうち居室部などは別途コンクリートであったり、石膏ボードだったりするが、ブロックやレンガを積んだ壁もある。

これだけ見るとずいぶん華奢に感じるのだがまさにそのとおりである。日本なら地震で倒壊は免れまい。事実、このような建築様式を地震のある地域に持ち出して散々な目にあっている例がある。フランスなら海外領土のGuadeloupeでの地震でコンクリート建築がたでに壊れる映像がつい最近テレビに出ていた。裏をかえすと、日本の建築がいかに頑丈かが伺える。当然それはコストに反映されるだろうが。建物に限らず道路や鉄道の高架、橋、地価構造物もしかり。 ちなみにこのマンション、下はスーパーマーケット、カルフールである。実際には店舗の真上ではなく店舗を囲むようにたっている。カルフールはもう10年以上前からあったはずなので上モノができて町の景観が完成するのにずいぶん時間がかかっている。ここに住めば買い物はとっても便利。最寄の駅(RER C線)からも徒歩数分。



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