のだめカンタービレ2


のだめカンタービレの最終エピソードの映画クライマックスはチャイコフスキーの序曲1812年でしめられる・・・らしい。テレビでこの曲が流れ、そういう話をどこかで見た気がする。さてこの1812年、もちろん1812年に実際にあったことに由来している曲である。それはチャイコフスキーの国の人たちには勝利であるが、フランスにとっては敗走とナポレオン帝国没落の始まりなのである。詳しい話はWikipediaあたりをごらんいただきたい。

中学生の時、吹奏楽部にいたこともあり、音楽室横の教官室にはよく入り浸ったもので、もちろん吹奏楽部顧問の先生がそこにいるからであり、しかし一緒にいる合唱部顧問の先生ともよく音楽の話をしたものである。ある日先生が、「これはいい曲だよ」とレコードを聞かせてくれたのがこの1812年であった。それはいわゆる普通の演奏ではなく、冒頭の弦で始まるロシア正教の聖歌が男声合唱というものであった。このメロディーも美しいが、声楽でそれが奏でられるというのもまた印象的であった。そう、こんな感じ・・・って違うか?

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部外者からするとこの曲が愛国者の勝利の曲?ねがわくば2つの国の国歌の旋律が登場するこの曲が和平の曲であって欲しいものである。Wikipediaによるとこの曲はイベント用に書かれたものであり、チャイコフスキー自身それには乗り気ではなかったという。最後に一斉に鳴る鐘の音は勝利とは違う次元のものと信じたい。一方、この曲に出てくる旧ロシア国歌の旋律、おなじチャイコフスキーの作「スラブ行進曲」にも登場する。こちらは曲の生い立ちからして愛国的あるらしい。

さて対するフランス側はというと・・・日本ならこの曲、なんとなくBGMか効果音的に使われてテレビからよく聞こえるものだが、フランスではまず聞かれない。やっぱり敗北のタブーなのか?ただ一度だけこの曲がバラエティ番組で勇ましく使われているのを目撃したことがある。それは中国とフランスとの国交かなにかのイベントの年のことで、風雲たけし城のようなアトラクションバラエティでであった。そもそも番組自体が勘違いの塊で、中国との交流かなにかを表現したかったのかなにやら怪しげなアジア文字がふんだんに使われていたのだがそれがカタカナだったり・・・で、クライマックスにこの曲であるからおよそ学のない者が番組企画、制作にかかわってしまったのだろう。

そして気になるのが近所の公営図書館のCDライブラリである。けっこうマニアックな曲、たとえばドヴォルザークなら交響曲全部、手の届くところにあるのにチャイコフスキーは冷遇されているのかという品揃えである。そしてこの1812年、オンライン検索によると公開書庫にはなく奥の書庫から注文に応じて出してもらえることになっている。が、なぜかこれまで数度お願いするも、「だめだ」、「出せない」。ナゼ?これは反ナショナリズム音楽なのか?そういえばこの曲に使われている旧ロシア国歌、ソ連時代にその部分が別曲にさしかえられていたらし。ひどいものだ。


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