デノミネーションのシナジー効果


いきなりとんでもないタイトルである。といっても別に難しい経済システムの話が始まる訳ではなく、言いたい事はただ一つ。ここは一つ与太話にお付き合いいただきたい。先ごろ外来語の正しい日本語訳語というのが発表されたが、このタイトルなどお叱りを受ける格好の対象だ。実際のところ「シナジーエフェクト」にするか「シネルギー効果」とするか迷ったものである。

デノミネーションと言えば言葉本来の意味よりも通貨単位の切り下げとしての方が通りが良い。長らく日本の通貨を旧¥100=新¥1にしようと言う話がある。その背景にはアメリカドルより2桁多いことが通貨として弱い印象を与えるという劣等意識、建設的に言えば$1.00=¥100そしてユーロ統合を迎えて国際的な通貨ハーモニゼーションと言ったところがあるだろうか。
おっとはこれらに加えてデノミネーションを推進するもう一つの効果を見出した。それはかつて戦後の新円以前に使われていた「円」以下の補助通貨単位「銭」の復活である。それは「銭」が1/100を意味するアメリカのセント/cent、フランスならばサンチーム/centimeに通じるからである。そのためには、かつて銭はsenと表記されていたがこれを日本語のローマ字表記の原則をねじ曲げてでもcent、少なくともcenとしなければならない。実現すれば上記にある当初の目論みと同時に国際協調、しかもそれが日本の歴史に根ざした独自性をそなえて実現されるのであるからまさに、シナジー効果といって間違いない。「シナジー効果の意味が違う」?日本では一石二鳥と言うようだ。

実際のところ個人的にはデノミには反対である。あわよくば米、欧に2桁上げてもらいたいものであると考えている。そもそも通貨という量をあらわすものに小数点以下というのはなじまない。たまたま1/100だったからよかったもののこれが1/10や1/1000単位だったらどうしていただろう?もちろんむやみと桁が多いのも困り者である。今は亡きスペイン、ペセタは円と同じ桁にあったと記憶しているが、イタリア、リラは一体いくらなのか完全に見失ってしまった。韓国、ウオンはその中間だろうか。
教育的配慮としては子供が数を身につけるのは3歳くらいで、通貨の概念を理解するのもその直ぐ後であろう。日本の教育要綱(!?)ならそこから少数を身につけるまでさらに4年を待たなければならない。こんなおかしな事があって良いのだろうか?

少々脱線するが、同じような疑問を以前感じたことがある。 おっとはかつて高校時代、力学の加速度、運動エネルギー、運動方程式といった問題に多いに苦しめられたが、それから1年もたたぬうちに数学で習う微分、積分方程式が全てを体系的に説明してくれた。以来、電磁気学、気象学くらいまではなんとかなったものである。数学はじつに強力な道具なのである。しかし万能ツールも使い道がわからないと何の役にも立たないもので、数学で習う対数というのは数学としての問題(パズル)をただ難しくする記号にしか見えなかったが、以前ユーロのナゾでネタにした対数感覚や化学での反応速度論というのがあれはもっと感覚的に身に付いたであろうと思われる。三角関数もしかり。しかし、行列式だけはいまだ人生で役に立っていない。

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