オーヴェール・スュル・オワーズ/Auvers sur Oise



パリから北へ数十キロ、セーヌの支流オワーズ川のほとりの小さな街が、とある天才画家が死を迎えた地である。それがオーヴェール・スュル・オワーズ。南仏のころ描かれたの華やかな絵とはことなり、ここでの作品は何か重苦しい。ここでみずから命を絶つことを選択した彼は、彼の作品ともなった教会の裏の墓地に眠る。Vincent Van Gogh。

l'eglise 街のメインストリートはオワーズ川に沿っており、その中心は国鉄の駅や役所のあるところである。駅前から川とは反対側の坂道を登っていくと、あの有名な絵の教会が見えてくる。おそらく、有名な絵にならなければこの教会もどこの街にでもある教会の一つに過ぎなかったのである。それがそう思えなくなっているのはすでに意識してしまっているからである。

l'eglise2 この街にはゴッホが画き残した多くの風景がある。その風景のそばには作品の複製画の看板が立てられている。絵と風景を対比するのも面白い。絵の中に描かれた道、坂、木などちょっとしたものまで今もそのままである。
教会の右横の道を登っていった一番高いところにある墓地にゴッホは彼を献身的に支えて来た弟テオとともに眠る。まわりの墓と比べ圧倒的に地味でわびしい墓の下で。ここからは教会と街のある川のほとりが見下ろすことができる。

l'escalier ゴッホがこの地で描いた風景は、メインストリートにある駅、役場、城、階段のある坂道、そしてゴッホのよき理解者であった医師、ガシェの家もそのままである。階段の絵は地味で特徴のない風景が絵になっているのであまり有名でないが、描かれている木の階段がそのまま残っており、絵の時代を体験することができる。この階段のすぐ横に観光案内所があるので要チェックである。
この観光案内所のすぐ向かい、役所からもメインストリートを挟んだ向かいに、ゴッホが最後に居を構えた家がある。家といっても実際に一部屋だけの間借りであった。この家は中に入ることもできる。「ゴッホの家へのパスポート」という冊子がついて30フラン。この冊子にはこの界隈の地図と当時の画家たちが題材にした風景の場所とその解説がとても詳しく書かれているのでちょっとしたガイドブックになる。日本語版を含め各国語版がそろっている。ここを最初に訪れてから周囲を散策するのがよいであろう。ゴッホの住んでいた部屋は、暗くひっそりとした、アルルに構えていた時自ら描いた明るい部屋の作品とは正反対な屋根裏部屋である。ゴッホの部屋の隣にはビデオシアターがあり、部屋の見学後ゴッホにまつわる風景、歴史、逸話が紹介される。狭いゴッホの部屋に実際に入ることができるこの見学コース、10人ほどの小人数グループで一回り20分ほどかかるので見学できる人数にとても限りがある。観光シーズンには中に入ることが困難かもしれない。

passport 家の一階は昔乍らのレストランが残っており、リーズナブルな価格で昼食がとれる。このあたりあまりレストランのたぐいがない。
この地を描いた印象派画家は他にセザンヌがいる。華やかな他の画家とは対照的な人生、そんなものを感じる街である。ちなみにうちの前の通りの名前は、Rue Vincent Van Goghである。

道路情報
ParisからAutoroute A15でCergy Pontoiseへ。Auvers sur Oiseの方向へN322、D44を進み川を渡ったらそこである。最初にあの教会がめに飛び込んでくる。


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