妊娠初期がつつがなく過ぎていくと、14週目までに医療保険事務所に申告する妊娠確定の書類が医師によって作成され申告することとなる。Vous attendez un enfantという名前の3枚つづりの書類が医師による妊娠証明と申告書をかねた書類にあたり、医師が記入した必要事項に加えて個人の情報、住所、氏名、生年月日、社会保障番号、医療保険事務所の所在を記入して複写式の1枚(青)を医療保険事務所、securite sociale, caisse d'asurance maladieへ、2枚(赤)を家族手当事務所、caisse d'allocation familialeへ提出する。医療保険事務所は保険証に記載されている住所へ、家族手当事務所は該当管轄を医療保険事務所で教えてくれる。フランス国籍所持者であればこの手続きはただ書類を郵送するだけですぐに終了するのであるが、外国人にはいろいろと追加で求められる書類がある。 |
まず初めに医療保険事務所。ここへ提出するのは以下の通りである。条件としては夫がフランスで勤務しており社会保障に加入し、妻は専業主婦で夫の社会保障でカバーされる場合である。
妊娠証明申告書(vous attendez un enfant)
以下のものはコピーである。
そして何故に求められたか判らないが、会社が作成する夫の1ヶ月あたりの労働時間証明 家族証明は出生、国籍、婚姻関係などの情報を記載した書類で在住している町の役所、mairie、hotel de villeで作成してくれる。通常は無料。作成に必要なのは記載事項を証明する書類。具体的には旅券と戸籍謄本のフランス語翻訳。ただし翻訳は翻訳業者によって行われた証明付きのものでなくてはならない。日本には資格を持った職業翻訳家というのはいないので私設の翻訳業者によって訳されたものをフランス大使館で内容証明を受けることになる。またはフランスでは職業翻訳家がいるのでそこで法定翻訳をお願いする。 滞在許可証は現在有効であることが求められるのはもちろんのこと、妊娠が起こったと推定される計算上の妊娠日にもフランスでの滞在が許可されていることを証明するものも求められる。我々の場合、ちょうど滞在許可証の切り替わりの時期であったため、新旧二つの許可証を提出した。 この手続きは直接、医療保険事務所でおこなう。判らないことは親切に教えてくれる。さらに必要書類が変わることがある上、書類自体やシステムまでの変更になることが頻繁にあるので少なくとも電話で確認したほうが良い。 |
家族手当事務所に必要なのはこちらで用意するいくつかの書類とともに向こうから記入を求められる書類がある。以下の条件はフランスではじめて出産を予定し、これまで家族手当登録がされていない場合である。
原本を提出するもの
コピーで提出するのは
専用書類を受け取り記入するもの
銀行口座証明は銀行からの月末取り引きレポートなどについてくる口座開設者氏名、口座番号などが記された証明書である。給付される補助金を受け取るために通知する銀行口座情報である。 収入報告は昨年の全収入、労働による給与収入だけでなくあらゆる物を含む。 記入しなければならない必要書類があるのではじめに一度事務所のほうへ足を運ばなければならない。直接行ったほうが必要な書類やシステムを詳しく教えてもらえるし、あれが足りない、この書類に不備がなどということを郵便のやり取りで行っていては煩雑である。 |
最も重要なのはこれらの手続きが妊娠が起こった推定日から14週目までに行わなければならないことである。これを過ぎると、特に補助金の関連する家族手当は権利を失うことがある。実際、会社関係の人には提出が遅れたために手当てを失ったという話がある。
これらの手続きが終了すると医療保険事務所からは妊娠から出産までの流れを示す書類と妊娠に関連する診察、検査に必要なステッカーが交付される。このステッカーは医療費の保険払い戻し申請書に貼付するもので毎月の診察、検査に相当する枚数がある。これが貼付されていると妊娠出産関連の医療払い戻しとして100%が返還される。ステッカーには氏名、社会保障番号のほかに妊娠の登録番号が記載されている。これが日本での妊娠の申告と母子手帳の発行に相当する。フランスでは1999年時点で出生前の母子手帳は廃止されている。子供に関する健康手帳は出産後、出生届をするときに交付される。 家族手当事務所からはただ登録番号が通知される。 |