きのこ


フランスのきのこ事情は比較的良く、和食に使えるものが豊富です。日本のきのこの代表格であるしいたけがフランスで栽培されているのがまず一番にうれしいことで、その他フランス独自のものも和食に使えたりします。しかし、フランス風の香りを楽しむようなきのこは和食には不向きだったりします。

*マッシュルーム/Champignon de Paris

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フランスでもっとも一般的なきのこはこちらではChampignon de Parisと呼ばれる、ごく普通のマッシュルームである。たいていが真っ白で、スーパーには季節に関係なくいつでも並んでおります。とても安価なので財布に気にせず使えます。安いきのことはいえ、買うときはじっくり一つ一つを厳選して。傘がむやみに広がっていないもの、まだ傘と軸に隙間がまるでないものがベスト。小ぶりのもののほうがしっかりして日持ちもよいです。

質感がいかにも洋風のこのきのこは和食の食材としては向きません。味噌汁の具に使ったことがありますがかなり厳しいです。和風の一品としては、スライスしたこのきのこを軽くソテーし、バターしょうゆで味付けがあります。これが限界です。

ちなみに同じようなマッシュルームでもRoseとよばれる褐色のものがありますが、こちらはきのこの香りが白よりも豊かです。

*しいたけ/Shiitake/Lentin de chêne

きのこの豊富なフランスではしいたけも栽培されているようで、白いマッシュルームの一大産地はロワールにあるきのこ博物館にも栽培展示があった。しかし、これを使用したフランスの伝統的な料理はいまだお目にかかったことがないのでおもに中華、アジア料理向けなのだろうか。

大手スーパーマーケットには秋のきのこの季節に常設販売されるのであるが、本当に季節物で秋以外には店頭に並ぶことはない。一方、パリ中華街には年中しいたけが並んでいる。

最寄のあるいはいきつけの市場にしいたけを見つけることができればラッキーである。ちなみにうちから最寄の、しいたけが確実に手に入る市場はヴェルサイユの市場である。

もちろんここで言うしいたけとは生しいたけのことで干ししいたけではない。干ししいたけになると入手はかなり楽で、スーパーマーケットでも大規模な店舗なら必ずある世界の食材コーナーの中国あるいは日本のところに並んでいるはずである。そばにはきくらげも見つけることができる。ただし、このスーパーのしいたけは品質が必ずしも満足いくものとは限らず、価格も割高である。よい干ししいたけを求めるなら日本食材店あるいは中華系食材店のほうがよいであろう。パリ中華街ではスライスされた干ししいたけの袋入りもある。これはお手軽インスタント味噌汁の具としてとても便利。

*えのき

鍋あるいはすき焼きの季節にはえのきが欲しくなるものですが、えのき自体は日本食材の店で常時売られていることでしょう。えのきはパリ中華街でも手に入ります。

*しめじ

しいたけ、えのきと並んで日本のきのこの代表格といえばえのきですが、これもえのき同様に日本食材の店あるいはパリ中華街で手に入ります。が、えのきに比べて見かける頻度は小さく、また値段も高く感じます

*なめこ

なめこといえばやはり味噌汁の具あるいは大根おろしと一緒にいただきたいところです。あるいは夏の暑い日にはおろしなめこ蕎麦などさいこうです。これがフランスは見当たりません。唯一手に入るのは、おそらく日本食材の店に並ぶ、日本直輸入の缶詰のもののみでしょう。隣国スイスのスーパーマーケットで缶入りのなめこを入手したことがあります。

フランスでは、なめこそのものではありませんが、スーパーマーケットの缶詰、瓶詰め売り場には瓶詰めの水煮きのこが並んでいます。きのこ一種のものからミックスきのこまで数種類ありますが、ミックスきのこの中にはなめこのような小さくぬるぬるしたきのこが入っているものもあります。もろんこれは味噌汁の具にもきのこ蕎麦にも最適です。

*エリンギ

「おいしいきのこはホクト」の歌で一躍有名になったエリンギは、はて中国食材なのかどうか?パリ中華街で見かけることがあります。和食としてのこだわりの大きい食材ではありませんが、バターしょうゆでいためるとなかなかです。

**Pleurotte

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鍋あるいはすき焼きに入れることができる特殊なきのこ、しいたけあるいはえのきが常に手に入るわけではありません。そんなときスーパーマーケットにあるきのこで代用できるのが、Pleurotte、そして次にあげるGirolleです。うすいグレイ色のPleurotteは見た感じ日本にもありそうなきのこで違和感はまるでなくそのまま鍋に入れてもまるで問題ありません。味も癖がなくあっさりしております。

**ジロル/Girolle

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フランスできのこの王様に君臨するGirolleは和食にはかなり異彩を放つオレンジ色でどうも躊躇てしまいますが、実は和食との相性はかなりのものでなかなかの実力を持っています。これ自体独特の香りをもっており、これがフランス人に好まれているのですが、なかなか和食と合うものです。きのこ本体はマツタケのように筋がしっかりしており、新鮮なものならマツタケさながらに縦にきれいに裂くことができます。それゆえに鍋、すき焼きなどの煮込みにも耐えて、うっかり鍋からとり忘れたままでも煮崩れせずしっかりしております。もちろん歯ごたえもしっかりしております。もしかするとほかのどのきのこよりも鍋物に適しているといえるかもしれません。が、それほど安いきのこではありません。

***セップ/Cèpe

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さていよいよ日本のきのこの王様マツタケですが、日本のものと全く同じマツタケはおそらくフランスには存在しないでしょう。マツタケ風といえばセップと呼ばれるきのこがあり、なんとなくマツタケの風格があります。これは上のジロルにもまして高価なきのこで、マツタケ同様に秋の一時期しか店に並びません。おそらく栽培が確立されていないのでしょう。肝心の味のほうですがcepeはどころか日本のマツタケすらろくに味わったことがないのでなんとも言いがたいです。

***トリュフ/truffe

庶民の台所に来る食材ではないでしょう。入手も高級食材店で無い限りきわめて困難です。もちろん和食にあうかあわないかというと、前衛的な日本料理には使われることもあるでしょうから。


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