ガストロ


子フランスでは冬に消化器系の病気が流行する。胃腸にくる風邪なのかそれとも胃腸を失調させる感染症そのものなのかわからない。ところで夫の職場は研究開発関連で水を扱っている。ここの化学者もエンジニアも電気屋もメカニシャンも皆揃ってミネラルウオーターを飲む。オフィスにはそれぞれめいめいお気に入りのミネラルウオーターのボトルが置かれている。水道水は全く飲まないというわけではなく、昼食時には食堂のカラフ入り水道水を飲んでいる。

ある日、化学関連を担当している同僚(A)がぽつりともらした。
A「フランスの水道水は昔は良かったが年々悪くなるばかりである。特に冬場は目に見えて水質がわるくなる。雨が降った後などてきめんである。」
夫「東京の水道水に比べれば雲泥の差。塩素となんともいえない臭さはそのまま飲むには耐えられるものではない。」
A「そう、塩素。フランスの水道水は伝統的に塩素の量が少ない。冬の消化不良の流行病は悪くなった水由来、微生物系の感染症に違いない。」
夫「?」
A「子供がクレッシュで風邪をもらってくることはあってもガストロには罹らない。水という水はすべてミネラルウオーターを使って気をくばっている。」

この会話の内容が事実であるかどうかはわからない。こんな話が風評として広がるのは本意ではない。風評によって上水供給会社が財政的な被害を受けると言うことはないであろう。しかし水道水からミネラルウオーターに切りかえることにより発生する、水の採取とボトル詰、ボトルの輸送、ボトルの廃棄というリソースの浪費、地球環境への負荷というのは見過ごせない。 

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